望まない妊娠や、さまざまな事情により妊娠の継続が難しい場合、中絶手術という選択肢があります。当ページでは、中絶手術の概要や手術可能な時期、手術方法の違いについて解説しています。
中絶手術とは?
いつまでできるのか?

日本の「母体保護法」では、人工妊娠中絶について以下のように定義されています。
胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその付属物を母体外に排出することをいう。
引用元:日本産科婦人科学会|母体保護法
中絶手術は、母体保護法指定医の資格を持つ医師のみが行うことができます。指定を受けていない医師が手術を行った場合は、法律違反となります。
また、定義に「胎児が母体外で生命を保てない時期」と明記されているとおり、中絶ができる期間も明確に定められています。母体保護法によると、中絶手術が可能な期間は、妊娠22週未満です。
この妊娠22週未満を2つに分けて、初期中絶と中期中絶といい、それぞれはっきりとした違いが設けられています。
💡ポイント💡
- ・中絶ができる期間は妊娠22週未満
- ・中絶手術を執刀できるのは母体保護法指定医のみ
妊娠初期中絶
初期中絶は、中期に比べて身体的・精神的な負担が軽く、費用も抑えられる傾向にあります。特に妊娠週数が浅いほど、母体への影響も小さくなります。中絶手術を行う婦人科・レディースクリニックでは、妊娠初期のできるだけ早い段階での手術を推奨しています。
初期中絶手術 | |
---|---|
期間 | 妊娠12週未満(妊娠11週6日目まで) |
方法 |
ソウハ(掻爬)法、吸引法による人工妊娠中絶手術 |
特徴 |
|
初期中絶手術
期間 |
妊娠12週未満(妊娠11週6日目まで) |
---|---|
方法 |
ソウハ(掻爬)法、吸引法による人工妊娠中絶手術 |
特徴 |
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妊娠中期中絶
妊娠12週以降の中期中絶では、入院による管理と加療が必要となります。初期中絶と比べて身体的な負担が大きく、分娩に近い処置が必要となるため、精神的にも大きなストレスがかかる場合があります。
また、治療費が高額になることに加え、死産届の提出など、行政上の手続きも必要となるため、心身の負担はより重くなります。
中期中絶手術 | |
---|---|
期間 | 妊娠22週未満(妊娠21週6日目まで) |
方法 |
子宮収縮剤によって人工的に陣痛を促し流産させる |
特徴 |
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中期中絶手術
期間 |
妊娠22週未満(妊娠21週6日目まで) |
---|---|
方法 |
子宮収縮剤によって人工的に陣痛を促し流産させる |
特徴 |
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中絶手術にかかる費用と相場
中絶手術にかかる費用は、手術代のみと思われがちですが、実際には診察料や検査費用、麻酔代など、複数の項目が含まれることが一般的です。思いがけない妊娠に直面し、費用面での不安を抱える方も少なくありません。
「手術にはどれくらいかかるのか」「どの項目に費用がかかるのか」といった疑問を解消できるよう、手術に関連する費用の内訳や、追加で発生する可能性がある費用についてもご紹介します。
中絶手術にはいろいろな費用がかかる
中絶手術の費用は、医療機関ごとに項目名や内訳が異なる場合がありますが、基本的な費用として診察・検査・麻酔・手術代が含まれることが一般的です。
加えて、術後の薬代や追加検査、感染症対策、処置に応じたオプション費用がかかることもあります。すべての項目が必要となるわけではありませんが、事前に確認しておくことで、より安心して準備ができます。
費用の意味や特徴 | |
---|---|
診察料(初診料・再診料) | ・中絶費用は自費診療のため、医療機関によって異なる |
術前検査費 |
|
手術費 |
|
麻酔費 |
・安全に手術を行うための麻酔にかかる薬剤、医療技術に対する料金として、別途かかる場合が多い |
術後検診費 |
・経過観察のための検診を行うときにかかる |
(術後)投薬料 |
・術後の子宮収縮剤、鎮痛剤、抗生物質などを処方してもらうときにかかる |
埋葬費・供養費 |
・術後の胎児を埋葬・供養などするためかかる |
当日手術費 |
・即日手術が可能な場合に、特別加算として発生することが多い |
土日祝日費 |
・手術希望者が多い日のため、特別加算として発生することが多い |
時間外料金 |
・イレギュラーな対応のため、特別加算として発生することが多い |
リスク管理費 |
・安全に手術を行ううえで、リスクとなる既往症や疾患などがある場合に発生することが多い |
費用の意味や特徴
診察料(初診料・再診料) |
・中絶費用は自費診療のため、医療機関によって異なる |
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術前検査費 |
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手術費 |
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麻酔費 |
・安全に手術を行うための麻酔にかかる薬剤、医療技術に対する料金として、別途かかる場合が多い |
術後検診費 |
・経過観察のための検診を行うときにかかる |
(術後)投薬料 |
・術後の子宮収縮剤、鎮痛剤、抗生物質などを処方してもらうときにかかる |
埋葬費・供養費 |
・術後の胎児を埋葬・供養などするためかかる |
当日手術費 |
・即日手術が可能な場合に、特別加算として発生することが多い |
土日祝日費 |
・手術希望者が多い日のため、特別加算として発生することが多い |
時間外料金 |
・イレギュラーな対応のため、特別加算として発生することが多い |
リスク管理費 |
・安全に手術を行ううえで、リスクとなる既往症や疾患などがある場合に発生することが多い |
大阪の中絶費用の
平均・相場はどのくらい?
初期中絶手術 | 10万~25万円 |
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中期中絶手術 | 30万~50万円 |
大阪・梅田エリアにおける中絶手術の費用相場は、全国的な水準と大きな差はなく、多くの医療機関で初期中絶の場合は10万円~25万円程度の範囲となっています。
中絶手術は健康保険の適用外(自費診療)のため、医療機関ごとに費用設定が異なり、診察・検査・麻酔・手術などを含む基本費用の総額に加え、状況によってはオプション費用が発生する場合もあります。
こうした点を踏まえ、ご自身の体調や妊娠週数、希望する手術日程に応じて必要な費用を事前に確認しておくことが大切です。
また、現金に加えてクレジットカード等でのお支払いに対応しているクリニックもありますので、費用面でご不安がある場合は、各医療機関に相談することをおすすめします。
中絶手術の流れを確認
中絶手術を検討される方に向けて、一般的な医療機関での初期中絶の流れをご紹介します。
※梅田駅前婦人科クリニックでは中絶手術を実施しておりませんが、情報提供の一環としてご案内しています。詳細は各医療機関に直接ご確認ください。
- ①予約
-
多くの医療機関では、電話またはインターネットから予約が可能です。
電話予約の場合、費用の目安や手術までのスケジュールについてその場で確認できるため、不安を減らすことにつながります。インターネット予約は24時間受付が可能で便利ですが、不明点がある場合は電話のほうがスムーズに進むことがあります。
- ②診察と術前検査
-
来院後、医師による診察と手術前の検査が行われます
以下の内容について質問されることが多いため、あらかじめメモしておくと安心です。
- □最終月経の開始日と出血の期間
- □現在服用している薬の有無と名称
- □持病や既往歴の有無
検査内容は、血液検査、子宮・卵巣の超音波検査、性感染症のスクリーニングなどです。胎のう(胎児を包む袋)の確認ができ次第、手術日を確定します。
- ③術前処置
-
手術を安全に行うために、前日に子宮頸管を拡張する処置を行う医療機関が多くあります。処置の内容や注意事項は、事前の診察時に説明されます。
- ④中絶手術
-
手術当日は、指定された時間以降は飲食を控え、医療機関に来院します。中絶同意書の提出や料金の支払いを済ませた後、手術の準備に入ります。
点滴による麻酔の後、手術が始まり、15〜20分ほどで終了するのが一般的です。術後は回復室で安静にし、体調が安定すれば帰宅となります。
術後に必要なお薬や生活上の注意点については、医師または看護師から説明があります。
- ⑤術後検診
-
手術から1週間程度を目安に、術後検診を行う医療機関が多いです。
出血の有無や子宮の回復状態を確認し、経過に問題がなければ、入浴や性交渉の再開などについての案内があります。
体調に異常がなくても、術後検診は大切な確認の場となるため、必ず受診することが推奨されています。
中絶手術後の症状については中絶手術後の妊娠と生理をご覧ください。
※上記の中絶の流れは、一般的な内容です。手術を受ける医療機関=医師によっても方法や見解が異なるケースがあるので、医師の指示に従うようにしてください。
中絶手術は日帰りでできる?
方法と注意点
手術と聞くと「お腹を切る」ようなイメージを持つ方もいますが、人工妊娠中絶手術では、一般的にそうした処置は行われません。ここでは、一般的な医療機関で行われている中絶手術の方法についてご紹介します。
※当クリニックでは中絶手術は実施しておりませんが、情報提供を目的に掲載しています
日帰り手術が可能なのは初期中絶
人工妊娠中絶は、妊娠週数の経過により「初期中絶」と「中期中絶」に分けられます。
このうち、日帰りでの手術が可能なのは初期中絶(妊娠11週6日まで)に限られます。初期中絶は、処置時間が短く、麻酔の使用量も比較的少なく済むため、術後の回復も早く、その日のうちに帰宅が可能とされます。
一方、中期中絶(妊娠12週以降)では、子宮収縮を促す処置により、分娩に近い流れとなるため、入院加療が必須です。身体への負担も大きく、一般の出産に近い痛みや経過を伴います。
初期中絶手術の方法とは?
代表的な3つの手法

手術の方法 | 特徴 |
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ソウハ(掻爬)法 |
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自動吸引法=EVA |
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手動吸引法=MVA |
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手術の方法と特徴
ソウハ(掻爬)法 |
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自動吸引法=EVA |
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手動吸引法=MVA |
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中絶手術の方法については吸引法(MVA式・自動式)とソウハ法の違いをご覧ください。
現在、手動吸引法(MVA)は感染症リスクや子宮へのダメージを抑えられる点で、もっとも身体にやさしい方法として評価されています。手術費用とのバランスを含め、ご自身の状況や希望に合わせて、医師と相談のうえで選択することが大切です。
中絶手術の痛みは強いの?
中絶手術に関する不安の中でも、「痛みがどの程度あるのか」という点は、多くの方が気にされるところです。ここでは、一般的な医療機関で行われている中絶手術の流れをもとに、痛みの感じ方についてご紹介します。
※当クリニックでは中絶手術は行っておりませんが、情報提供の一環として掲載しています
痛みを感じやすいのは術前処置
中絶手術では、「術前処置」と呼ばれる子宮頸管の拡張処置を行うことがあります。
この処置に使用されるのは、「ダイラパン」や「ラミナリア」といった、水分を吸収して徐々に膨らむ素材の器具です。
これらを子宮頸管に挿入し、ゆっくりと広げることで手術の準備を整えますが、この段階で痛みを感じやすい方が多く、「中絶手術は痛い」という印象につながることがあります。
中絶手術の痛みはどの程度?
多くの医療機関では、初期中絶手術に静脈麻酔を使用しています。そのため、実際の手術中に痛みを感じることはほとんどありません。
ただし、中期中絶では分娩に近い方法となるため、子宮の収縮による強い痛みを伴うことがあります。
💡ポイント💡
- ・強い痛みを感じやすいのは、術前処置時(麻酔なし)
- ・初期中絶手術は静脈麻酔で痛みを感じにくい
- ・術後の痛みは軽度で、多くは鎮痛薬でコントロール可能
中絶手術後の痛みについて
術後の痛みは、生理痛に似た鈍い痛みを感じる方が多く、処方される鎮痛薬で軽減できます。痛みは通常1週間程度で治まりますが、強い痛みや不調を感じた場合は、速やかに医療機関へご相談ください。
中絶で後悔しないために…
この記事の大切なポイントを下記にまとめました。中絶をする前にこのポイントを踏まえ、後悔のない医療機関選びをしてくださいね。
💡ポイント💡
- ・中絶手術にはできる期間が法律で決められている⇒妊娠22週未満
- ・初期中絶は中期中絶よりも負担が少ない⇒初期中絶は12週未満
- ・中絶費用は手術そのものの金額だけでなく、その他の費用がかかることも多い
- ・日帰りで手術ができるのは初期中絶のみ
- ・もっとも負担が少ない中絶手術方法は手動吸引法(MVA)
- ・初期中絶は手術自体の痛みは強くないが、前処置は強い痛みを伴う
中絶手術に関する
よくある質問
中絶手術に関しては、不安や疑問を抱える方も多くいらっしゃいます。ここでは、一般的な医療機関でよくあるご質問と、その回答をまとめました。
- 中絶薬で中絶できますか?
- A.2023年、経口中絶薬(ミフェプリストンとミソプロストールの併用剤)が日本でも承認されましたが、医師の管理下でのみ使用が可能です。自己判断での服用や、個人輸入した薬の使用は重大な健康被害のリスクがあります。使用に際しては、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従う必要があります。中絶薬の詳細については経口中絶薬は病院で買える?値段や効果も解説をご覧ください。
- 妊娠22週を過ぎたら中絶はできませんか?
- A.はい。妊娠22週を超えると、日本の法律上、中絶手術を受けることはできません。 やむを得ない事情で出産が困難な場合は、里親制度や特別養子縁組制度といった社会的支援の活用が検討されます。早めの受診と相談が大切です。
- 中絶後に後遺症が残ることはありますか?
- A.身体的な後遺症が残ることは極めてまれですが、精神的な影響として「PAS(中絶後遺症症候群)」と呼ばれる状態が報告されることがあります。孤独感や罪悪感、過剰な警戒、フラッシュバックなどの症状が出る場合があり、必要に応じて専門家への相談も視野に入れましょう。
- 中絶手術後、すぐに妊娠する可能性はありますか?
- A.中絶後はホルモンバランスが早期に回復し、最短で約10日で排卵が再開するケースもあります。次の月経前に妊娠することもあるため、避妊については術後すぐに取り組むことが大切です。ピルなどの処方を受けられる医療機関もあります。
- 中絶手術には同意書が必要ですか?
- A.はい。日本の「母体保護法」により、中絶手術には本人および配偶者(パートナー)の同意が必要とされています。 ただし、配偶者の同意が得られない事情がある場合(死別・所在不明・性犯罪による妊娠など)は、本人の同意のみで手術が可能な場合もあります。
- 中絶の履歴は残りますか?
- A.初期中絶は基本的に自費診療となるため、健康保険の履歴には残りません。また、手術後に子宮が回復すれば、エコー検査や診察で中絶歴が判別されることもほとんどありません。
- 出産か中絶か、迷っています…
- A.妊娠に関する判断は、ご本人にとってとても大きな決断となります。中絶手術を選択できるのは妊娠22週未満です。まずは妊娠週数を正確に確認するためにも、早めに婦人科・レディースクリニックを受診してください。医師と一緒に、最適な選択を考えていくことが大切です。
梅田駅前婦人科クリニックでは、尿検査・超音波検査にて、妊娠の確認を行っています。ご希望に応じて、産科等の専門クリニックへ紹介状を作成いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
梅田駅前婦人科クリニックでは、尿検査・超音波検査にて、妊娠の確認を行っています。ご希望に応じて、産科等の専門クリニックへ紹介状を作成いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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お知らせ
-
2025/06/11
2025年7月1日(火)10時 梅田駅前婦人科クリニックが新規開院します。2025年6月24日(火)より、予約受付開始です。