
更年期とは、閉経の前後約10年間にわたって続く、女性の身体と心にさまざまな変化が現れる時期を指します。ホルモンバランスの変化によって自律神経が乱れやすくなり、ほてり・発汗・動悸・不眠・イライラなどの不調が起こりやすくなります。
この記事では、更年期に現れやすい代表的な症状や、ホルモン補充療法(HRT)・漢方薬での治療法についてご紹介します。
女性の更年期
:7つの症状とセルフチェック
更年期には、ホルモンバランスの乱れによって、身体的にも精神的にもさまざまな不調が現れます。
症状 | 日常で感じやすい変化・サイン |
---|---|
ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ) | 突然顔が熱くなる、暑くないのに汗が吹き出す |
動悸・息切れ | 急にドキドキする、軽い運動でも心拍数が上がる |
睡眠の質の低下 | 眠れない、夜中に目が覚める |
情緒不安定 | 些細なことで怒ったり落ち込んだりする、何もやる気が起きない |
めまい・ふらつき | 立ち上がるとクラっとする、地面が揺れる感じがする |
痛み | 肩や関節が重い、頭痛、関節のこわばりなどが気になる |
倦怠感・疲れやすさ | 何をしてもすぐに疲れる、朝からだるさがある |
症状
ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ) |
動悸・息切れ |
睡眠の質の低下 |
情緒不安定 |
めまい・ふらつき |
痛み |
倦怠感・疲れやすさ |
日常で感じやすい変化・サイン
突然顔が熱くなる、暑くないのに汗が吹き出す |
急にドキドキする、軽い運動でも心拍数が上がる |
眠れない、夜中に目が覚める |
些細なことで怒ったり落ち込んだりする、何もやる気が起きない |
立ち上がるとクラっとする、地面が揺れる感じがする |
肩や関節が重い、頭痛、関節のこわばりなどが気になる |
何をしてもすぐに疲れる、朝からだるさがある |
これらの症状は1つだけでなく、複数が重なって現れるケースも多いです。
また、日によって症状の強さが変わったり、病院でも明確な原因が見当たらなかったりするため「年齢のせいかな」「気のせいかも」と放置してしまう方もいます。
更年期の不調は正しいケアで軽減・改善が可能です。ご自身の身体の変化に目を向け、更年期の疑いがある場合は、一度、婦人科を受診してみましょう。
更年期はいつから始まっていつ終わる?
更年期は、閉経の前後約10年間を指します。日本人女性の平均的な閉経年齢は50歳前後のため、一般的には45歳頃から55歳頃までが更年期の目安です。
ただし、始まるタイミングや症状の出方には個人差があり、40代前半から不調を感じ始める方もいれば、閉経後から症状が出る方もいます。
更年期とホルモンバランスの関係

更年期の不調の大きな原因は、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量が急激に変化することにあります。
この2つのホルモンは、生理周期や妊娠などに関わるだけでなく、心身のさまざまな機能をサポートしています。
女性ホルモン | 特徴 |
---|---|
エストロゲン (卵巣ホルモン) |
女性らしい身体づくり(皮膚のハリ、骨密度の維持、血管の柔軟性など)に関わるホルモン。20代で分泌のピークを迎え、40代後半から急激に減少します。 |
プロゲステロン (黄体ホルモン) |
排卵後に分泌され、子宮内膜を整え、妊娠の準備をするホルモン。基礎体温を上げる働きもあります。妊娠しなければ自然に減少します。 |
女性ホルモンとその特徴
エストロゲン |
女性らしい身体づくり(皮膚のハリ、骨密度の維持、血管の柔軟性など)に関わるホルモン。20代で分泌のピークを迎え、40代後半から急激に減少します。 |
---|---|
プロゲステロン |
排卵後に分泌され、子宮内膜を整え、妊娠の準備をするホルモン。基礎体温を上げる働きもあります。妊娠しなければ自然に減少します。 |
この2つのホルモンは、月経周期の中でバランスを取りながら分泌されますが、閉経の前後になるとこのリズムが乱れやすくなり、ホルモンバランスが大きく崩れます。
ホルモンバランスが乱れると、自律神経が不安定になりやすい、睡眠や気分のコントロールが難しくなる、肌や髪の変化、骨密度の低下などの変化が起こりやすくなります。
つまり、更年期の症状は「年齢による自然な老化」だけではなく、ホルモンの急変による“体内の環境変化”が引き起こす反応なのです。
ホルモンバランスを
整えるためのセルフケア
- 1.規則正しい生活習慣
- 2.サプリや市販薬でのセルフケア
- 3.心身ストレスの軽減
更年期の不調に気づいたとき、まず心がけたいのが生活習慣の見直しです。
食事と睡眠、そして心身のストレスがホルモンバランスに大きな影響を与えるため、これら3つを意識して改善することが、バランスの維持に役立ちます。
また、サプリメントでのサポートも、症状を和らげる手助けとなる場合もあります。
婦人科でできる更年期ケア
- 1.ホルモン補充療法(HRT)
- 2.漢方
- 3.プラセンタ注射(※当院では実施しておりません)
更年期の不調は、生活習慣の見直しだけでは十分に改善しきれないケースも。そのような場合には、婦人科での適切なケアによって、症状の軽減や生活の質の向上が期待できます。
当クリニックでは、更年期の症状や体質に合わせた治療を行っています。
1.ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)は、更年期に急激に減少するエストロゲンを補い、ホルモンバランスを整える治療法です。
特に、ほてり・のぼせ・発汗・不眠・情緒不安定といった自律神経の乱れによる症状に高い効果があるとされています。
当クリニックでは、HRTの中でも「貼り薬(パッチ)」による治療を中心に行っています。パッチは皮膚に直接貼ることでホルモンを体内に吸収させる方法で、内服薬に比べて身体への負担が少なく、貼り替えるだけで簡単に使用できるなどのメリットがあります。
内服に不安がある方や、継続しやすい治療方法をお探しの方にもおすすめの治療法です。
2.漢方
更年期の症状は個人差が大きく、「病名がつくほどではないけれど、毎日がつらい」と感じる方も少なくありません。そんなときに活用できるのが、体質や症状に応じて内服できる漢方薬です。
当クリニックでは、婦人科三大漢方とも呼ばれている効果の期待できる漢方を、症状や体質に合わせて処方しています。
加味逍遙散(かみしょうようさん):更年期に見られるイライラや不安感、情緒の不安定さに対応する漢方薬です。肩こりや疲労感を伴うタイプの方に、心身のバランスを整える効果が期待できます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):のぼせや下半身の冷え、血行不良による頭痛やめまい方に適した処方です。体の巡りを整えながら、更年期特有の血流やホルモンバランスにアプローチします。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷えやむくみ、貧血気味の症状が出やすい方に向いています。体力があまりなく、疲れやすい方、弱感が残る方などに適した漢方です。
漢方薬は、自然な作用でゆるやかに体調を整えていく治療法です。副作用が少なく、身体にやさしいケアを希望される方にも適しています。
3.プラセンタ注射
プラセンタ注射は、胎盤由来の成分を体内に取り入れることで、ホルモンバランスや自律神経の調整をサポートするとされている治療法です。疲労感、肌荒れ、冷え、情緒不安定など、幅広い不調の緩和を目的に希望する方も増えています。
現在、当クリニックではプラセンタ注射の取り扱いは行っておりませんので、予めご了承ください。
「もしかしたら更年期?」と思ったら
梅田駅前婦人科クリニックへ
梅田駅前婦人科クリニックでは、更年期のお悩みに対して、漢方薬やホルモン補充療法などを用い、お一人おひとりに合った対処法をご提案しています。
更年期の症状は、身体の不調と心の揺らぎが複雑に重なるため、「病気ではないから…」「年齢のせいかも」と我慢してしまう方も少なくありません。
ですが、症状の原因が更年期ではなかったとしても、子宮や卵巣など婦人科系の疾患が隠れている場合もあります。身体の不調を感じたら、まずはお気軽にご相談ください。
ホルモンバランスの
よくある質問
- 更年期かどうか、自分では判断できないのですが、受診しても大丈夫ですか?
- A.はい。問診や必要に応じた検査を行い、現在の状態に応じた対応をご提案しますので、お気軽にご相談ください。
- 更年期は何歳から始まりますか?
- A.日本人女性の平均的な閉経年齢は50歳前後といわれており、更年期はその前後約10年間を指します。ただし、症状の現れ方や開始時期には個人差があります。
- 更年期の治療はずっと続けないといけませんか?
- A. 治療の期間や方法は、症状の経過に応じて調整できます。一時的に症状が強くなる時期に治療を行い、落ち着いてきたら減量・中止するケースもあります。継続が不安な方も、お気軽にご相談ください。
- 市販のサプリでも更年期は治りますか?
- A. 軽度の不調であれば、サプリメントの活用が助けになる場合もあります。大豆イソフラボンやエクオールなどは、更年期症状のサポートに用いられる成分です。ただし、効果には個人差があるため、症状が続くようであれば医療機関での相談をおすすめします。
News
お知らせ
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2025/06/11
2025年7月1日(火)10時 梅田駅前婦人科クリニックが新規開院します。2025年6月24日(火)より、予約受付開始です。